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意思決定の記録(決定ログ)
10秒でわかる!要点まとめ
- 議事録が「何が決まったか」なら、決定ログは「なぜそう決めたか」を残すもの
- 理由の残っていない決定は、担当者が変わった瞬間にひっくり返る
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選ばなかった案こそ書く。後から必ず「なぜB案にしなかったのか」が来る
1. 概要:判断の理由を、判断した時点で残す
意思決定の記録(決定ログ)とは、プロジェクトの中で下した判断について、何を決めたか・なぜそう決めたか・何を捨てたか・その時点で何が分かっていなかったかを書き残す仕組みです。 議事録との違いは目的です。議事録は「合意した事実」の証拠であり、時系列に紐づきます。決定ログは「判断の理由」の保存であり、案件が終わったあとも読まれることを前提にします。1案件に数十行、多くても100行程度の軽い表で十分です。 書く単位は「後から誰かが『なんでこうなってるの?』と聞きそうなこと」。全部の決定を書く必要はありません。
2. なぜ重要なのか:理由のない決定は、必ず蒸し返される
プロジェクトが長くなると、決めた本人がいなくなります。 担当者の異動、体制変更、外部パートナーの入れ替わり。そのとき残っているのが「A案に決定」だけだと、新しく入った人は必ずこう言います。「なぜB案じゃないんですか?」 理由が残っていなければ、答えられません。答えられなければ、もう一度ゼロから議論することになります。 これが運用フェーズでいちばん多い時間の無駄です。 さらに深刻なのが、理由を忘れたまま元に戻してしまう事故です。「使いにくいから」と外した機能を、半年後に別の人が「あったほうが便利では」と復活させる。当時の理由(実装コスト、法務NG、データが取れない)が消えているので、同じ失敗をもう一度やります。
3. 実務のポイント:4つの列だけ持つ
- 「決めたこと/理由/捨てた案/前提」の4列:これ以上増やすと書かれなくなります。理由は1〜2行で十分ですが、「誰の意向か」ではなく「何を根拠にしたか」を書きます。「先方のご希望のため」は理由になりません。
- 捨てた案を必ず書く:B案を採らなかった理由は、A案を採った理由よりも寿命が長く、よく参照されます。「B案は工数が2倍で、公開日に間に合わないため見送り」と1行あるだけで、蒸し返しが止まります。
- その時点の未確定を書く:「アクセス数の実績が無いため、想定値で判断」のように、判断の土台が弱いことを正直に書いておくと、後から数字が出たときに見直す手がかりになります。
- 決めた直後に書く:まとめて後から書くと理由が思い出せません。議事録を書くついでに、決定ログの行を足すのが現実的です。
4. スキルアップのヒント:過去案件の「なぜ」を調べてみる
いま関わっている運用案件で、理由の分からない仕様を1つ選んで、当時の経緯を調べてみてください。 ほとんどの場合、誰も答えられません。その体験が、決定ログを書く動機になります。 また、自分が下した判断を1週間後に読み返して、「この理由で他人を納得させられるか」を確認する習慣も有効です。納得させられない理由しか書けないなら、その判断自体が弱い可能性があります。書けないことは、たいてい考えられていないことです。