目次 / 制作・開発ディレクション / プロジェクトマネジメント
課題管理・ボール管理
10秒でわかる!要点まとめ
- 遅れの正体は、たいてい「作業が遅い」ではなく「誰も決めていない」
- 課題管理表の1行に必ず「いま誰が持っているか」と「いつまでに返すか」を書く
-
ボールが自分に無い=順調、ではない。相手が持ったまま止まっているのが最悪の状態
1. 概要:止まっているものを見つけて、動かす
課題管理・ボール管理とは、プロジェクトの中でまだ決まっていないこと・答えが返ってきていないことを一覧にし、それぞれが今どこで止まっているかを追い続ける業務です。 進行管理(スケジュール管理)と混同されがちですが、別の仕事です。進行管理は「予定どおり進んでいるか」を見ます。課題管理は「進めない理由が何か」を見ます。ガントチャートが真っ赤になってから慌てるのではなく、赤くなる前の段階、つまり判断が滞留している場所を見つけるのが目的です。 「ボール」とは、次に動く責任を持っている人のことです。ボールがこちらにあれば作業すれば進みます。問題は、ボールが相手にあるまま気づかれずに何日も経つケースです。
2. なぜ重要なのか:遅れの大半は、作業ではなく判断で止まっている
納期に間に合わなかった案件を後から分解すると、実作業の遅れよりも「返事待ち」の日数のほうが長いことがほとんどです。デザインの確認、原稿の支給、機能の可否判断。それぞれ数日ずつの滞留が、合計すると2週間になります。 やっかいなのは、この滞留が誰の目にも「作業中」に見えることです。制作側は「先方待ち」と思い、先方は「制作側が進めている」と思っている。両者とも自分は仕事をしているつもりなので、誰も異常だと気づきません。 ディレクターの価値がいちばん出るのはここです。止まっていることに、いちばん早く気づく人であることが仕事の中心にあります。
3. 実務のポイント:一覧の作り方と、催促の仕方
- 1行に「課題/持っている人/期限/状態」:ツールは何でも構いません(スプレッドシート、Backlog、Notion)。大事なのは持っている人が個人名であることです。「先方」「制作チーム」と書いた瞬間に、誰も動かなくなります。
- 期限のない課題を作らない:「確認中」のまま期限が空欄の行は、必ず放置されます。相手が決められないなら「いつなら決められるか」を聞いて、その日付を入れます。
- 催促は「責める」ではなく「困りごとを聞く」:返事が来ないのは、たいてい相手も社内で止まっているからです。「まだですか」ではなく「何かお手伝いできることはありますか」と聞くと、稟議が止まっているなどの実態が出てきます。そこが分かれば、こちらから資料を用意して動かせます。
- 止まったまま動かないものは、期限を切って決め打ちする:「◯日までにご連絡がなければ、A案で進めます」と伝える方法があります。乱発はできませんが、判断できない相手を助ける手でもあります。
4. スキルアップのヒント:自分の案件の「待ち日数」を数える
いま動いている案件で、課題ごとに「何日止まっているか」を数えてみてください。 感覚では2〜3日のつもりが、実際は10日を超えているものが必ず見つかります。数えると、自分がどの種類の待ちを見逃しやすいかが分かります。 もう一つ、毎朝5分だけ課題一覧を上から見る習慣が効きます。会議の場で確認するのでは遅すぎます。止まりは、見に行かないと見つかりません。