ディレクション辞書

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プロンプトとコンテキスト設計

項目番号 134

10秒でわかる!要点まとめ


1. 概要:AIに渡す「前提」を設計する仕事

プロンプトとは、AIへの指示文のことです。ただし実務で成果を分けるのは、指示の言い回しよりも、その手前で何を前提として渡しているかです。この前提のことをコンテキストと呼びます。

たとえば見積もりのたたき台を作らせるとき、単価表・過去の類似案件・前提条件が渡っているかどうかで、出てくる数字の使いものになり方がまったく変わります。プロンプトの技術より、コンテキストの設計のほうが効きます。

2. なぜ重要なのか:属人化を防ぐ唯一の手段だから

「あの人が使うといい答えが返る」の正体は、たいてい才能ではなく、その人だけが持っている前提を渡していることです。

これを頭の中に置いたままにすると、AIを導入しても属人化は解消しません。むしろ「使える人と使えない人」の差が広がります。逆に、渡すべき前提をファイルとして書き出しておけば、誰が回しても同じ品質に近づきます。

これはディレクションの他の業務とまったく同じ構造です。073 意思決定の記録(決定ログ)083 問い合わせ状況の管理・ナレッジ化 と同じで、個人の頭の中にあるものを、チームが使える形にするという話です。

3. 実務のポイント:渡す前に、人が論点を絞る

  1. 先に論点を整理する:ヒアリング内容をそのまま丸ごと渡すのではなく、人がいったん「何を提案に反映すべきか」を絞ってから渡します。情報を大量に渡せば精度が上がるわけではありません。

  2. 前提をファイルにする:自社の強み、実績、営業方針、単価表、トーン&マナー、禁則事項。これらを毎回チャットに打ち直すのではなく、参照させるドキュメントとして持たせます。プロジェクトごとの機能や、リポジトリに置く設計方針のファイルなど、実現手段はツールによって変わります。

  3. 出力の形を先に指定する:「提案書を書いて」ではなく、章立て・分量・読み手・避けたい表現まで指定します。会社指定フォーマットがある場合は、レイアウトを崩さないよう、テキストだけを生成させて人が流し込むほうが安定します。

  4. コストを意識した配分:高性能なモデルにすべてを任せると費用が膨らみます。難所だけ上位に任せて、単純な整形や一覧化は軽いモデルに回すという配分が有効です。

4. スキルアップのヒント:うまくいった1回を再利用可能にする

いい出力が返ってきたとき、そこで終わらせないこと。「何を渡したからうまくいったのか」を1段落で書き留めて、次の案件でそのまま使える形にします。

チームで使うなら、案件フォルダに前提ファイルを置き、更新の担当を決めます。プロンプト集を配るより、前提ファイルを共有するほうが効果が高いというのが実感です。渡し方の実例は、DiSAのnoteでも継続的に公開しています。